英語、読めるのに話せない~「やらされ感」克服に有効なAIツール

「英語、読めるのに話せない」という課題に対して、当社が実施している方略についてお伝えします。当社の研修コンセプトは「自学でできるところはAIや動画に任せ、研修時間の大部分を一人ではできないアウトプットに充当」。自学動画やAI活用前提の課題が多い分、研修の時間やコストは最小限に抑えられます。また研修と言いながらも、研修時以外の自学領域がしっかり担保されているので、研修終了後の自学定着も期待できます。

目次

 

1.「やらされ感」を感じさせずに「やらせる」研修

当社は20年以上の研修実績があります。そこで確信するのは、100%純粋な「主体的学習」などは存在しないということ。正確に言うと、見かけ上は、社員の主体性による英語学習に見せつつ、実際には、研修提供側による「見えない学習誘導」という前提があるということです。これは、学習者が社会人であろうが、学生であろうが、子供であろうが全く同じです。彼らのほとんどが、「できればやりたくないし、やらされるのは論外。それでも英語上達という成果だけは手に入れたい」という希望を持っています。こうしたニーズに応えるために、当社では「学習者に”やらされている感”を感じさせることなくやらせる」をコンセプトとして、主体性尊重というコーティングをした「やらせる研修」を展開中です。この「やらされ感」の抑制に一役買っているのがAIツールです。以下、AIツールを活用し、「やらされ感」なく、「話す」へ誘導する当社の研修コンセプトを紹介していきます。

2.AIツールによる「読む」の大幅負担減

現在の環境は、「読む」に対してはかなり追い風です。当社では、現在の読解力に加え、それを補う環境について棚卸していたきます。

❶自分の現在の読解力:簡単な英文資料を読んでいただき、現在の真水の読解力を再確認していただきます。

❷自動翻訳の実力:Google 翻訳をはじめ、昨今の機械翻訳ツールでは、複雑な英文でない限り、かなり質の高い和訳を提供してくれます。まずはこの現実をしっかり確認します。英語学習を始めるからといって、英語情報を常にゼロベースで読む必要はないということは、多忙なビジネスパーソンの英語運用ハードルを大幅に低くしてくれます。

❸和訳を見ることは「負け」ではない:一見消化が難しそうな英文でも、和訳であれば一瞬に読めてしまいます。これも「読む」に対するひとつの追い風と言えます。当社では「和訳活用術」も体験していただき、「自己努力による英文リーディングの負担」を極限まで小さくします。

3.AIツールによる「書く」の大幅負担減

「読む」負担が大幅に軽減できることを体験いただいたあと、今度は和文英訳を体験していただきます。やはりここでも、凝った表現でない限り、機械翻訳ツールで相当有効活用できることを再確認いただきます。ただ、初中級者の場合、「機械翻訳が生成した英文の検証」という課題が残りますので、次のステージとしては、Chat GPTやGeminiなどの生成AIツールを介した、文章の編集・推敲へと進みます。

【ブックレビューでもAIを使えばたちまち英語化】

【”書く”では、ロジックの型を使い、内容の創造性に集中】

4.自学=AIツール、研修=話す、のすみわけ

ここまでお伝えすると、英語運用のほとんどが一人でパソコンやスマホの画面上でできてしまうことがわかります。当社では、このように各自がスマホで自由にできる領域は、その便利さの再確認に留め、むしろ、一人では練習することも、質の検証も難しい「話す」にフォーカスします。とりわけ、「書く」はAIを使えば、自分の実際のレベルをはるかに超えた英文を生み出すことができますので、一層、「話す」とのギャップが顕著になります。

 

ところで私自身、中国語学習者ですが、生成AIツールでやりとりしていますと、「大学生レベルの中国語運用力」と評価されます。それくらいの質と量で日々ライティングコミュニケーションを展開中です。さらに、日頃使用している日本語の漢字で7-8割は通じてしまう利便性も実感中です。しかし、「話す」方は、全くの初級レベルですから、目下、様々な方略を使って、中国語の「話す」練習を展開中です。

 

話を英語に戻します。「話す」トレーニングは、以下の手順を追って行っていただきます。ステップ1から2は、パソコンやスマホからの動画による自学、ステップ3と4は研修会場で実際に対人でやっていただきます。

【STEP1: 知識としての英文法を復習】

【STEP2: 現実的に話せそうな長さと簡潔な構造の英文を耳に馴染ませる】

【STEP3: 教室にて対人で話してみる】

【STEP4:教室にて、モデル英文を言い変え(パラフレーズ)してみる】

実際、受講者が冷や汗をかきながら英語を話す場面が7-8割を占める当社の研修は、見学者によっては、講師が楽をしているように見えるかもしれません。しかし日本の英語学習者に圧倒的に足りないのが実際に話すことだとすると、動画で視聴すれば済むような講義は、動画に任せればよいのです。むしろ講師の力量が問われるのは、こうした【話す】体験のあとに次々と出てくる疑問や悩みに対するフォローだと言えます。当社研修の受講者のワークロードをざっと図にするとこんな感じです。研修時間中は、可能な限り一方的講義を抑制し、とにかく受講者自身に1秒でも多く【自分自身が汗をかく体験】をしていただくようにしています。

5.「世界共通言語」という発想を磨く

時には英語から離れ、自分たちの業界における「世界共通言語」は何なのか考えていただきます。当社では、日本経済の成長にとって致命的なことは、英語オンチであることよりも、「変化の目まぐるしい世界レベルでの業界情勢への関心の窓」が閉じていることだと考えます。

【産業界の基本となる国策について概観】

【製造業界隈における世界共通言語】

当社は、当然ながら各企業の業界の専門家ではありませんので、この領域はむしろ、研修に参加する社員各位にイニシアチブをとってもらう領域です。各社員が携わる業務において、世界の共通言語は何かを探してもらい、他部門の受講生や研修講師に英語で伝えてもらいます。プレゼンの英語の評価はシンプルで、その説明を聞いている受講者が理解できれば及第点ということになります。例えば、製造業であれば、公差toleranceにおける幾何公差(geometric tolerance)が世界標準になっているとするならば、これも一種「業界の世界共通言語」として考えることも可能です。

【自分の業界にはどんな世界共通言語があるのだろう?Toleranceの例】

6.マイペースの落とし穴~研修(隠れ強制)と自学(表向き主体性)

ここで自学副教材として並行利用できる通信講座をご案内します。通信講座の魅力は、研修運営側に一切のオペレーションの負担がかからないことです。一方、社員側にとっては、自分のペースで進められること。ただ、通信講座や自学用アプリ共通の課題として、自学のペース配分がわからなくなったり、実際の英語運用とイメージが結びつかないことが挙げられます。弊社の研修では、通信講座の添削課題提出期限を研修時にリマインドしたり、社員が実務上で直面したコミュニケーション課題を取り上げ、通信講座教材の一部分を関連させて講義するなどして、高利用術をキープしています。Eラーニング、通信講座のメリットは、自分のペースでできること、主体性に任せられる点にありますが、弊社の「やらされ感を持たせずにやらせる」コンセプトから、講義を敢えて完結させず、「こちらの詳細は通信講座のレッスン●●を参考にしてください」というように、学習を通信講座へと誘導していきます。

 

俗に「きりのよいところで終える」と言いますが、弊社は敢えて、「きりの悪いところで終えて、未消化感を残す」ことで、「その続きをやらないとスッキリしない」という状況を作り、そこから通信講座や動画学習へとつなげます。これは20年以上教えてきて、授業でやりきってしまうと、多忙な社員はすぐに仕事モードに戻り、勉強へは戻ってこなくなることを学習してきた弊社ならではの発想です。強制的色合いが強くなりがちな研修も、中途半端な終わり方によって、自学をしてスッキリさせたくさせるように誘導していけば、学習者は「やらされ感」を抱くことなく、「すっきりしたい」という自己欲求をベースに自学に向き合うことになります。たとえば弊社ではTOEIC講座も提供していますが、リスニングパートなどは敢えて答え合わせをせずにその日の研修を終了させます。こうしますと、ほとんどの受講者に「もう少し聞きたい」「正解を知りたい」という「ほどよいストレス」が生まれ、結果、自学をやらざるを得なくなるようです。

 

ところで下記通信講座が扱っているプレゼンとネゴシエーションは、ビジネスパーソンにとっては、高難度かつ高汎用性スキルに属するものと言えます。これを可塑性の高い新入社員時代に身に付けさせておくことで、社員はさらなる自己研鑽や実践の場を求めることになり、日々のビジネスは、こうしたスキル発揮の場としての意味合いを帯びることになり、社員の成長モチベーションにも大きく寄与することになります。

【本ブログ著者監修のプレゼンテーションの通信講座(ガイダンス動画)】

【英語でビジネスコミュニケーション実践編:プレゼンテーション・ネゴシエーション(詳細情報)】

7.研修実績

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